Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

2020-11-29から1日間の記事一覧

雲南のアヘン中毒者 『偉大なる道』第2巻③ー2

故郷をできるだけしっかり見ておきたいという思いから、この旅人たちは、主だった街々では何時間か舟をとめたが、やがて揚子江岸の宜賓に上陸した。あくる朝、寝具と衣類を巻いて肩にかけて、大江をわたって、山に登りはじめた。狭い小道は山腹に絹の糸のよ…

ジャンクで四川省脱出 『偉大なる道』第2巻③ー1

1908年の12月半ばに成都に踏みいった若者は、2年前のぶざまではにかみ屋の百姓のせがれではなかった。もはや22歳であり、経験もつみ、自信もあった。といっても、世なれた男というところまではいっていない。心につらい痛手も受けた。そのころから数年間の彼…

家族からの追放 『偉大なる道』第2巻②ー14

家は、これから彼の送金を頼りにすることができなくなるので、朱徳は、成都に向かう前に帰郷して事実をつげようと決心した。家族たちは、恥をおそれて、息子が軍隊に入ることは隠しとおすことはわかっていた。彼は、雲南軍官学校を出て俸給をとるようになり…

雲南省の軍官学校入学を志願 『偉大なる道』第2巻②ー13

朱将軍は、儀隴県での経験は、封建勢力がいかに動くかという知識と積極的闘争への自信を彼にあたえたことで、生涯のうちでもっとも貴重なもののひとつになったといった。彼の知識と視野は広まってゆき、一方で国事がさらに危急存亡の時を迎えたとき、彼は「…

新教育を受ける権利闘争 『偉大なる道』第2巻②ー12

「もうそのころには、私たちの評判はすごくよくなり、支持者が格段に増え、学校には70人ばかりの生徒がいた。旧弊派は、法廷で敗れ、世論も彼らを悪くみていることがわかると、あらゆる卑劣な手段をとりだした。ごろつきをやとって、糞尿の桶を学校の前でぶ…

封建勢力からのいやがらせ 『偉大なる道』第2巻②ー11

朱将軍がいうには、この戦線はまもなく「旧式学校から、家庭や町の通り、商店、茶館、寺へと広がっていった。私たちは、人間の屑で、いうにいわれない理由で結婚もしないやつだといわれた。召使の女のようなものたちまで、道で私たちを見ると逃げ出し、男た…

旧式学者対新学問 『偉大なる道』第2巻②ー10

朱将軍の説明によれば、成都のような大都会では、「封建勢力は退潮しつつあったが、いなかでは、郷紳と彼らの同盟者たちが、まだ王者の威厳をふるっていて、あらゆる思想と行為を上から統制し、法廷と警察と地方軍を支配していた。旧式学者は、そういう家族…

老いた養父との別れ 『偉大なる道』第2巻②ー9

「養父はとても親切な人で、理解できないようなことにも、すすんできき入ろうとした。そのこと自体が私を苦しくして、私は、その夜は一睡もせず、ひとりきりの部屋で横になったまま、自分の今までの生活をふりかえった。自分は孝行という古来の道徳にそむい…

家族への告白 『偉大なる道』第2巻②ー8

2,3日を養父の家ですごしたのちに、朱徳は、祖先伝来の家に実父母と祖父母をたずね、それからまたほかの親戚をたずねた。どこへ行っても同じようにもてなされたが、たずねたその日がすぎると、自分は厄介者にされていて、みなは自分が出てゆくのを待っている…

家族の貧窮 『偉大なる道』第2巻②ー7

朱徳が留守にした2年間に、家はますます貧しくなっていた。外面からはそれほどはっきりわからなかったが、よく見れば隠しようもなかった。衣服は、彼の帰郷を迎えるために、洗ってかがってあったが、ぼろぼろで色もあせていて、もう何年も着ふるされたものだ…

帰郷と家族との再会 『偉大なる道』第2巻②ー6

2年間も家をはなれていたので、朱徳は、自分がいかに新中国的な存在になり、家族がいかに旧時代のままに取り残されているかということに気がつかなかった。大湾に向けて歩いて帰るとき、彼は、家のものは彼が成都の学校のことで嘘をついたことを了解してくれ…

成都の高等師範体育科卒業 『偉大なる道』第2巻②ー5

朱将軍によれば、都市がこのように繁栄した一方では、地方は相変わらず昔ながらの暗い生活をおくり、改革の諸施設のための税金の重荷でよろめいていた。郷紳階級はどこまでも怠惰で、進歩に反対していたが、いまやいっそう貪欲になって、官位職権を買って、…

高等師範での一年 『偉大なる道』第2巻②ー4

成都には、いくつかのキリスト教のミッションスクールがあったが、朱徳と学友たちはそこの学生を「洋夷の奴隷」とさげすんでいた。そこの学生たちは、孤立したせまい世界に生きていて、国事には関心をもたないで、自分の霊魂や来世のことをもっぱら気にかけ…

立憲君主派と共和派の教師たち 『偉大なる道』第2巻②ー3

朱徳はまじめな学生だったが、そのうち、自分の学業課程よりも国事について熱心になった。しかし、猛勉強はつづけていて、とくに、偽弁髪の教師たちが自分の講義を活気づけながら、「自由平等」や「旧制」の非について宣伝することに耳をかたむけた。だが、…

成都の高等師範学校体育科入学 『偉大なる道』第2巻②ー2

あくる日、つまり儀隴県をたって6日目に、彼は、約千名の学生がいる高等師範学校の体育科の入学手続きをした。最初に気づいたことは、偽の弁髪を椀型帽子にさしこんでいる教師がいることだった。彼らは、日本留学中に弁髪を切ってしまっていたので、帰国して…

成都の繁栄 『偉大なる道』第2巻②ー1

成都への道をひたすら急ぎながら、朱徳は心の中で叫んだ――地上に四川ほど美しいところがあるだろうか、こんなに堂々たる山、とうとうと流れる河、なんと豊満で香ばしい果物や花々だろうか。紅葉に燃える谷間や山腹に近道をとりながら、夜明け前に起きて、昔…

科挙合格 『偉大なる道』第2巻①ー9

そのとき、彼はひとりの若い男を見つけた。おさないころに丁家の土地でいっしょに遊んだ農家の子どもだった。この人びとの悲運はひとごとではないと、ひしと身に迫ってくる思いがした。この若者は年期契約をしてここで働き、肺病でじりじりと死にかけていた…

旧社会にたいする嫌悪 『偉大なる道』第2巻①ー8

彼は、清朝の下で役人になるということを嫌悪した。というのは、たとえこの地方試験に合格し、さらに省の試験にも合格したとしても、朱家には、彼のために官吏の地位を買うだけの金がない。金を出さなければ、だれであろうと官吏の地位につくことはできない…