Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

『偉大なる道』

『偉大なる道』にまつわる人物いろいろ

この本には敵味方いろいろな歴史上の人物も登場してくるので、読んでいて興味がつきない。 朱徳が対峙してきたのは地主などの特権階級からはじまって、清朝の西太后、袁世凱や蒋介石とその周辺の軍人政治家たち、外国の帝国主義者たち。 朱徳が語っているよ…

『偉大なる道』にまつわる儒教いろいろ

本の題名はもう忘れてしまったけれど、政治哲学者ハンナ・アーレントの「個人にいったん身についた観念を取りのぞくことはむずかしい」という内容の文章を読んで、静かな納得を得たことがある。 『偉大なる道』は、儒教精神でつちかわれた封建社会から脱皮し…

『偉大なる道』にまつわる遺伝いろいろ

数年前、元力士と綺麗な顔立ちのアナウンサーを両親にもつ息子が、靴職人というユニークな職業についたという話題を知ったとき、「いい仕事えらんだな」と感心したり、顔立ちや雰囲気が両親に微妙に似ていて、DNAがもたらす不思議さを感じたものだった。 い…

『偉大なる道』にまつわる養子いろいろ

もう十数年前ごろにネットで、ハリウッドの俳優アンジェリーナ・ジョリーの離婚に関するニュースが流れているのを興味深くみた記憶がある。 有名人の離婚ニュース自体はありふれていてさほど気にもとめなかったけれど、彼女が実子以外にアジアの子どもを養子…

『偉大なる道』にまつわる留学いろいろ

現在の中華人民共和国の建国をになった中国共産党の中心人物たちに留学経験者が多いことは気づいていた。本を読んでいるときにちょっと気になる人物が出てくると、ネットで調べてみたりするが、その中で「いわゆる勤工倹学でフランスへ」なんていう文面を見…

『偉大なる道』にまつわる名前いろいろ

アグネス・スメドレーの『偉大なる道』は朱徳の波乱万丈の半生だけでなく、中国の封建社会での農民の暮らしぶりが細かい所まで書かれている。 中国とベルギー人とのユーラシアンだった作家ハン・スーインは朱徳と同じ四川省の生まれだが、何代も前から読書人…

『偉大なる道』にまつわる言語いろいろ

中国が多言語国家であることに気づくまで、日本は日本語を母語にする人々の国であり、韓国は韓国語を母語にし、中国は中国語を母語にする人たちの国だと漠然と捉えていたように思う。 ところが、アジアのことをいろいろ知るようになって、学校教育を受けた中…

『偉大なる道』にまつわる客家(ハッカ)いろいろ

客家(ハッカ)いう言葉は、アジア図書館に勤めていたころ初めて聞いた。 それ以来何だろうとずっと気にはなっていた。 どうやら中国の歴史において、被差別者集団として扱われた時期があったらしいと知ってなおさらだった。 台湾出身の女性留学生に講演して…

『偉大なる道』にまつわる出版いろいろ

国家的偉業をなした人物の伝記はその国でたくさん出版されてきている。 『偉大なる道』で描かれている朱徳についても、中国では国家的事業としてたくさんの伝記が出版されてきているはずだ。 ただし、偉大なことは教育を通じて認識しているけれども、もう過…

孫文研究家故山口一郎氏への謝意

大阪でアジア図書館を運営している市民団体アジアセンター21の代表をなさっていた山口一郎氏が亡くなったことは、当時購読していた新聞の訃報欄で知った。 たしか、学会が何かの出席のために中国に滞在していたときに、ホテルで入浴中に亡くなられたと記憶…

朱徳の半生記『偉大なる道』を読んで

こんなに本の中の登場人物に愛着をもって読みすすめたことも珍しい。勢いで読んだ1回目、少し余裕をもって読んだ2回目よりもはるかに多くの知識、発見、再認識をえたし、現代の国内情勢を考える目も少しやしなわれた感じがする。とくにアメリカの対アジア…

『偉大なる道』第12巻「偉大なる道」を読んで

『偉大なる道』(アグネス・スメドレー著、阿部知二訳)を最後の巻まで読み終えたことになるが、もう4、5回目になると思う。 一冊の本をこれほど繰り返し読むと、前回読んだときはよくわかっていなかったことも頭の中で整然としてくる。この巻は現代史にぐ…

『偉大なる道』第11巻「ひとつの秘密の兵器」を読んで

この巻では太平洋戦争前後の状況が描かれている。 日本とアメリカだけではなくて、中国の革命側や蒋介石の国民党軍側がこの戦争の開始をどう考えていたのかもわかって興味深い。 こんなことを考えたこともなかった。 それと国民党側だけでなく、日本もアメリ…

『偉大なる道』第10巻「歴史との出あい」を読んで

以前ビルマインパール作戦について調べていたとき、戦争において将兵の士気を高めるには後方からの補給が大事だということを知った。この作戦はビルマを舞台にした日本とイギリスとの戦いだが、イギリス軍は日本軍は補給が続かないと判断した。 一方、イギリ…

『偉大なる道』第9巻「長征」を読んで 

この本を読むまでは、長征については内容的にはほとんど知らなかったので、ただ驚くばかり。それも侵略してくる日本軍と闘うために、兵力を温存して統一戦線の結成をよびかけるためだったとわかるとなおさら。ことはすべて計画的におこなわれた。 長征につい…

『偉大なる道』第8巻「紅色方陣」を読んで

この巻は1930年10月末ごろから開始された蒋介石による「紅匪」討伐作戦に対して、紅軍や共産党が甚大な犠牲者を出しながら、いかにして強力な武器を持つ国民党側に抵抗していったかが描かれている。映像にすれば血なまぐさいシーンの連続になる。 蒋介石は、…

『偉大なる道』第7巻「上杭の歌」を読んで

はるか昔、テレビで放送されたドキュメンタリー番組で観た、毛沢東が天安門から中華人民共和国の建国を国内外にむけて宣言するシーンが印象に残っている。その天安門を囲むように、一様に見える若い男女が身動きとれないほど陶酔して群らがっていた。 数の多…

『偉大なる道』第6巻「土地革命の開始」を読んで

この第6巻あたりからだんだん戦闘シーンや共産主義イデオロギーが出てきて、決して読みやすいものではない。革命とはこういうことかと思いながら読みすすめてきた。 はじめて読んだときはもう数十年前で、そのときはこの巻の内容はほとんど理解できていなか…

『偉大なる道』第5巻「大革命について」を読んで

この巻では、1926年から1927年7月中旬ぐらいまでの期間の軍閥と外国人支配に対する闘争が描かれている。 国民党右派、左派、共産党などの政治的確執は水面下。 蒋介石が北伐軍総司令官として台頭し、歴史に名を残していくプロセスがわかりやすい。 現在の中…

『偉大なる道』第4巻「探求」を読んで

朱徳がドイツに留学していた、1925年3月12日孫逸仙が北京で亡くなった。ドイツで、朱徳の仲間たちが追悼会をひらいたことが描写されているのだが、外国の帝国主義者だけでなく、多くの中国人が彼の死をよろこんだというくだりは意外だった。 このころの中国…

『偉大なる道』第3巻「災厄と禍害」を読んで

蔡鍔(さいがく)がいなかったら、「中国の歴史の流れは、非常にちがったものになっていたであろう」という著者スメドレーの述懐がやっとわかってきた。 30代の若さで、結核治療のためにむかった日本の九州大学医学部附属病院で亡くなっている。 同じ中国…

第2巻「革命への道」を読んで

この巻は中国の近代史で有名な辛亥革命に下級指揮官として参加する朱徳が描写されているので、より具体的になって理解がすすんだ。迫力もあり、いかに挫折していったかも納得できる。新型コロナであまりにも有名になった武漢の町も武漢三鎮として登場し、こ…

『偉大なる道』第1巻「道のはじまり」を読んで

ブログを移転するために記事を1つ1つ手作業で移しているのだが、何度目かになる『偉大なる道』を読み直す機会になっている。 この巻は19世紀の中国の農民の生活ぶりが生き生きと描かれていて、とても面白いし他にはない貴重な記録書として個人的には好きだ。…