Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

『偉大なる道』第九巻(改編)

瀘定橋の戦闘勝利をもたらした英雄の犠牲 『偉大なる道』第9巻②ー5

瀘定橋の戦闘は一時間ほどで終わった。戦死17名、火傷と戦傷は多数、ひどい火傷も若干あった。この戦闘に、朱や毛といっしょにいた参謀将校から聞いたが、朱は一言も発せず、身動きもせず、石のようにじっと立ったままだったという。彼は、紅軍と抗日戦の全…

鉄の鎖だけの瀘定橋を通過 『偉大なる道』第9巻②ー4

方針は即座に決まり、両岸の縦隊は川越しに信号を交わしながら行進を開始した。夜はたいまつの明かりで進んだ。18時間休みをとらずに進んで、やっと4時間の睡眠をとった。起きるとふたたび異様な山また山の険しい細道を、あえぎながら進んで行った。 瀘定橋…

石達開の大平軍がほろびた安順場 『偉大なる道』第9巻②ー3

5月の末、林彪の前衛師団は大渡河に沿う市場町の安順場に達した。かつて、石達開の太平軍がほろびたのはこの地だった。 このすさまじい川は、万年雪におおわれたチベット山脈の前哨としてそそり立つ死の山々から、急な流れとなって下っていた。断崖にぶつか…

ロロ族の酋長と同盟を結んだ劉伯承 『偉大なる道』第9巻②ー2

まだ未開の生活をおくっているロロ族は、太平軍に挑戦した先祖をもつので、彼らとの友情をきずくためには、参謀長劉伯承は黒ロロ族の酋長と血をすすって兄弟の誓いをたてることを、こばむはずはなかった。それまでロロ族は紅軍を迎えると、「ウーユー……ウー…

大平軍のたどった道をゆく紅軍 『偉大なる道』第9巻②ー1

はるかかなた、西康省の怪奇な山々や原始林の中で演じられた偉大な史劇のことを想像してみてほしい。 今は6万か7万になった紅軍――損害も大きかったし、たくさんのパルチザン隊を途中に残してきたからだが――はロロ族の未開の勢力地域を北に進んでいた。朱徳は…

貴州作戦と蒋介石の「歴史を再現せよ」という命令 『偉大なる道』第9巻①ー12

朱将軍は貴州会戦の話をつづけた。4月までに、敵軍は、貴州の北部、東部、南部に集結した。雲南軍も南部に入ってきて、雲南省に通じる西の方向だけがあいていた。このような敵の大軍を振りはらうことは不可能なので、紅軍は5月1日、急に行動をおこし、朱将軍…

朱徳の戦死を報じる国内外の新聞 『偉大なる道』第9巻①ー11

貴州会戦の話の途中で、私が保存していた国内外の新聞の古い切り抜きを朱将軍に見せた。それは彼の死を報じたり「確認」したりしたものだった。ロイター通信特派員の中国人トーマス・チョウが書いた記事などは、その当時中国や西洋の新聞が紅軍についてどん…

地主の逃亡と義勇兵の獲得 『偉大なる道』第9巻①ー10

紅軍は、敵の五個師団を壊滅させ、新たに2万近い義勇兵を獲得した。また大胆不敵な政治工作員たちは、あらゆる町や村に入りこんで、民衆大会や民衆の組織に奔走した。紅軍は貴陽を包囲したが、残念ながら多勢に無勢だった。しかも蒋介石は貴陽から逃げた。 …

遵義会議で権力をとった毛沢東 『偉大なる道』第9巻①ー9

1935年1月はじめの遵義占領の頃までは、紅軍は、まだ少数の有力な中央委員に支持されていた外国人顧問李徳の助言によって作戦を立てていた。李徳はドイツ人で、ソビエト騎兵隊の出身、1933年に江西ソビエト地区にやってきて、それ以来3年間唯一の外国人顧問…

新聞にのった妻と息子の最期 『偉大なる道』第9巻①ー8

1935年1月、紅軍は大損害をこうむった後、貴州省に押しいって、敵の防禦陣地を粉砕し、鳥江をわたり、省都貴陽と重慶を結ぶ道路上の要地遵義を占領した。一方、蒋介石は、それまでに揚子江流域の各省から軍隊をあつめて、道路阻塞(そそく)をもうけたり、揚…

紅軍将兵が残した『長征史』より 『偉大なる道』第9巻①ー7

長征は、革命戦史上の一大叙事詩であるだけでなく、偉大な民族文学の苗床だった。紅軍将兵数百人の物語、詩、スケッチ、日記などを集めた上下2巻の『長征史』が出版されているが、私はその中に次のような物語を見つけた―― 「われわれは、どんな時にもっとも…

民衆大会で教えた「打倒土豪」「分地」 『偉大なる道』第9巻①ー6

「第一軍団と第三軍団は、しばしば敵の中を実力で突破して、都市を占領したり、村落を保護したりしたが、地主や軍国主義者の役人の財産を没収して、自分たちに必要な分の食糧をおさえると同時に、残りは貧農や都市の貧民に分配した。大きな塩蔵をおさえたと…

空襲をさけるため敵地を夜間行軍 『偉大なる道』第9巻①ー5

「10月21日に第一、第二軍団は信豊地区の敵の第一防衛戦を通過した。われわれ後続部隊もそれにつづいた。11月3日われわれは敵の第二防衛戦を通過し、10日後にオウ漢鉄道に沿う第三防衛戦を突破した。われわれが敵の第二防衛戦を打ちやぶって、その背後に出る…

朱徳将軍による行軍序列発令 『偉大なる道』第9巻①ー4

「われわれ後続部隊は、その日から翌日にかけて、ぞくぞく寛田に到着した。私は、朱徳将軍と周恩来が、総指令部の人たちといっしょに乗り込んでくるのを見た。毛沢東と中央委員会が、それに続いた。毛はやせて弱々しそうだった。 「15日の日没、われわれは西…

兵器廠技師長の回想 『偉大なる道』第9巻①ー3

長征には10万人の男と35人の女が選抜された。彼らの80パーセントは意欲に満ちて規律正しい古強者で、その他は党と政府の要員や、革命運動で指導的な役割を演じた人びとであった。 紅軍中央兵器廠の技師長が、私に撤退の様子を話してくれた。彼は9月の末に、…

1934年9月、撤退する部隊と後に残る部隊 『偉大なる道』第9巻①ー2

「1934年9月のはじめだった」と朱将軍はかたりはじめる。「長い準備のあとで、われわれは、政治軍事の主な幹部を瑞金に召集して撤退計画をはなした。ソビエト政府副首席の党中央委員頂英は、東部戦線からやってきていた。われわれは彼を党指導者、ならびに政…

長征のはじまり 『偉大なる道』第9巻①ー1

長征の歌 十月、索漠たる秋風裡、 中央紅軍は長征に旅立つ。 星空の下にウ都をすぎ、 古ハ、信豊で戦って勝つ。 11月、宜章、臨武、藍山、道県を占領、 敵の第二封鎖戦を粉砕し、 走狗何鍵の心胆を寒からしむ。 12月、湘江をわたる。 広西軍閥ために戦慄する…