Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

『偉大なる道』第1巻「道のはじまり」を読んで

ブログを移転するために記事を1つ1つ手作業で移しているのだが、何度目かになる『偉大なる道』を読み直す機会になっている。

 

この巻は19世紀の中国の農民の生活ぶりが生き生きと描かれていて、とても面白いし他にはない貴重な記録書として個人的には好きだ。

とくに日本ではあまりなじみのない太平天国の乱を簡潔にドラマチックにまとめてあって、わかりやすい。

この乱の歴史的意義をどう解釈するかあたりも私には刺激的だった。

 

それと中国でのキリスト教カトリックの宣教活動についても思うことがあった。

当時は帝国主義とセットになって活動していたことがよくわかる。

信者が泥棒などをしてもカトリック教会に逃げ込めば、そこは治外法権が承認されていて罪を問えなかったと。

その点に魅力を感じて信者になる人が多かったと。

いまの信者のイメージとはぜんぜん違う。

そうなると信者以外の民衆のカトリック教会や信者への憎悪は高まった。

ついに四川省では19世紀にカトリック教会との衝突が生じて長く記憶に残ったらしい。作家ハン・スーインの父親もこの事件を手記に残していて、印象に残っている。

 

話しは横にそれるが、日韓併合直前に安重根という民族主義者がハルビンというとてもデリケートな地域で伊藤博史を暗殺した。

安重根は立派な書を残すほどの人で無学ではない。

さらにカトリック信者でもあった。

背景は複雑で最後は絞首刑になったけれど、フランスのカトリック教会の積極的な介入を期待していなかっただろうか。

 

その他とくに気になったキーワードは、

 

纏足(てんそく)、弁髪、土着の宗教、観音様、星まわり、科挙、官僚の堕落、

笞(むち)刑、旅芸人に対する民衆意識、3代同居の一族意識、商人の開明性、農民の借金、口承文学、旅職人、持参金つきの早婚、旅芸人への差別感情、

コーリャンおかゆ、中国人のKorea観

 

この巻は人によっていろいろな読み方、参考の仕方ができて、歴史学民俗学社会学などの幅広い分野のことを考察させてくれる。

 

次回からは第2巻の多感な青年期の回想「革命への道」になる。