Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

蔡鍔の指令 『偉大なる道』第3巻①ー9

 指令とは、蔡鍔は12月25日の明け方に、雲南府地域の諸軍を反乱させ、共和制への忠誠の誓いを立て、国民が蜂起して袁世凱を打倒するように呼びかける、ということで、蒙自その他の主要都市の共和派も同時に同一行動にでよという内容だった。蒙自の部隊は汽車で雲南府に向かうことになっていた。それから、雲南軍八個連隊は四川省に進軍して、袁世凱の支配をくつがえすということだった。蜂起は、袁の即位式と定められた1月1日以前に、諸外国が新朝廷を承認する前にしなければならなかった。

 

 朱徳その他の共和派士官たちは、その月の残りの日々を国境守備のために残すべき新募集の兵の訓練をしながらすごした。12月25日の夜明け前に、朱徳大佐はえり抜きの精兵の一団をひきいて、師団司令部にゆき、帝政派の士官をしばろうとしたが、すでに逃げてしまっていた。

 

 夜明けに、蒙自地域の全軍が集合した。朱と同僚は、国家の現状について報告をし、共和制への忠誠を誓う宣言をした。列車を徴発して部隊をのせ、ただちに雲南府に向かった。

 

 その同じ時刻に、蔡鍔と他の指導者は、雲南府における軍隊と市民の大集団の前にあらわれて、共和制への忠誠を誓っていた。それと同時に、全国に向かって声明を打電した。それは、民族の反逆者である袁世凱を打倒せよ、彼こそは外国帝国主義者である雇い主に叩頭しつつ、中国国民にむかって剣をふるうものだと糾弾していた。

 

 朱徳と友人の士官たちが、雲南府に着いて、汽車から飛び出して蔡鍔の司令部にかけつけてみると、蔡鍔と参謀たちが議論しているところだった。

 

 「蔡鍔が立ってわれわれの方に歩いてきたとき」と朱将軍はいった。「私はびっくりして、口もきけなかった。幽霊みたいに痩せおとろえ、頬はこけ、顔の中で眼だけが燃えて光っていた。結核で死にかかっていたのだ。声はすごく低くて弱くて、耳を寄せてゆかないと、ききとれなかった。近づいてこられたときには、私は首をたれて泣き出して、ものをいうことができなかった。