Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

土匪の首領から救いの手 『偉大なる道』第3巻④ー6

 2日後に亡命者たちは、北方からこちらに乗りつけてくる騎馬の一隊を見たが、そのなかに仲間の顔も見えた。こちらは馬からおりて待ち受けた。騎馬隊は近づいてきて、そのなかで短身で屈強な、三十代と思われる男が、きびきびとした威勢のいい動作で馬からおりて歩みよってきた。朱徳と彼の仲間は、なかば恐れ、なかば希望を感じながら立っていた。その男は、近づいてきておじぎをして、旧時代的な礼をもって歓迎の意をあらわし、「自分は、レイ・ユン・フィであり、みなさんを客人と見なす」といった。朱徳は、この男はひょっとすると自分と同じように哥老会のものではないかと思ったので、挨拶のときにちょっと変わった言葉をはさみ身振りをした。血盟の兄弟であるならば、どこの地でもたがいにわかる。挨拶をかえすときのレイの目は輝き、期待どおりの合図をしたので、この瞬間から亡命者たちは二重の安全をえた。

 

 この待遇に感謝して、亡命者の一団は、その場でレイにいくつかのライフル銃を贈り物にしようとした。レイは辞退したが、彼らは、申し出がただの儀礼ではないことを証明するために、三度くりかえした。それからレイは、一団を山村の要塞にみちびき、豚、山羊、羊を殺して宴を張り、何百の客が加わった。客人のあいだを紹介してまわるレイの立ち居ふるまいには、貴人としても恥ずかしくないものがあった。亡命者たちがここに10日とどまる間に、みなのために平服がつくられたが、それは彼らがこれからは商人として敵地を旅するためだった。