Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

東江の農婦の民謡 『偉大なる道』第6巻②ー6

 「そんな女たちが、悲しみにみちているが、戦闘的でもある民謡をうたうのをはじめてきいたときには、われわれの中にはすすり泣いているものもあった。その歌は十節からできていて、各節のはじめは、『いとしい人』という言葉ではじまっていた。それは『十の願い』といわれていた。ひとつあなたにうたってあげましょう」


 朱徳は立ちあがって、私の部屋にある小さなオルガンのそばにゆき、この歌をうたいはじめた――

 

いとしい人、はなれていても、近いひと

ふとんかついで、里の家に帰っておいで

何としても、革命のなかまになろう

小作料と税金を、いっしょになってぶっつぶせ

 

 最後の一節は――

いとしい人、これが私の十の願い

城の鬼なんぞ、恐れることはありません

労働者と農民が、手をにぎるんだよ

お前さんは鉄砲、私は刀だよ

 

 「白」という言葉は、もうすっかり、反革命勢力をいいあらわすようになっていたし、他方「赤」(紅)という言葉は、あらゆる革命的なものをあらわしていた。大昔から赤い色は、幸福、希望、新生活の象徴であったし、白は死の色だった。昔からの歌劇や芝居でさえも、悪人の顔やお面は白いか、白でくまどられ、主人公の顔は赤いか、赤でいろどられている。だから、朱徳や彼の仲間たちを感動させ、泣かせたこの東江の農婦の民謡も、あらゆる反動のことを「白い鬼」といった。