Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

1927年冬の湖南省南部の農民たち 『偉大なる道』第6巻④ー3

 まるで際限もなく沈黙がつづいたように思われたのちに、やっと、扉がすこし開き、そのすきまから老人が頭をのぞかせ、槍や、猟銃や、たぶん分捕り品のピストルや小銃で武装した百姓たちと、ささやきをかわす。老人は、扉を大きくあけて、夜の闇の中へ出てゆく、それから耳をすましている家の中へ向かっていう――

 

 「やつらのいったことは本当だ!」

 

 まるで夢の中のできごとのように、村中の戸があいて、男たちが外へあふれ出てくる。彼らは稲むらからわらをとって、家の中へはこび、土間にわらの寝床を造る。それから扉がふたたび静かに閉められる。ゲリラ隊員と家のあるじは、わら床の上に腰をおろし、ひそひそ声で語りあう。女たちの方は、泥のかまどに鍋をかけて、火をつけ、遠くから米をはこんできて、料理する。

 

 こういったような光景が、華南のいたるところで、その後数年間にわたって、くり返された。

 

 このような事実が、朱将軍に、しばしばくりかえし、このようにいわせた。「中国の農民は、地球上でもっとも革命的な人民だ」中国の農民が必要としているもののすべては、すぐれた指導、堅実な綱領、そして武器だけだ、と。1927年の冬の、あの暗澹たる時代に、朱将軍が部隊をひきつれてかえっていったのは、この湖南省南部の小世界だった。そこで、彼は、その後20年間、朱徳毛沢東が指導した軍隊の基本的性格となった土地革命の模範をつくりあげた。