Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

井岡山を思い出す恋歌 『偉大なる道』第6巻⑤ー8

 新しい言葉にかきかえられた、たくさんの民謡の1つ、「3つの偉大な任務」は音楽にあわせた教養問答のようなものだ――

 

  わが紅軍には、3つの偉大な任務あり。

  帝国主義と封建勢力をうち倒し、

  土地革命を遂行し、

  人民の主権をうちたてる。

  各人は、必要に応じてうけとり、

  各人は、能力に応じてはたらく。

 

  人民にたいしては、友愛にみちてかたろう。

  紅軍の原則を、大衆のなかにひろげよう。

  紅軍の政治的影響を、ひろめよう。

  紅軍の兵士は、模範になろう。

  労働者や農民からは、

  針一本、糸一すじも、とってはならない。

 

 中国の恋歌の1つは、聖書のようなひびきをもっていた――

 

  いとしい人よ! 寝床の前で、さよならといいます。

  わたしを愛さないようにといいます。

  わたしたちは、革命の道を旅しなければなりません。

 

  いとしい人よ! 戸口の前で、さよならといいます。

  わたしたちは、革命の道を歩かなければなりません。

  そのためには、あらゆる困難にたえて。

 

  いとしい人よ! 中庭で、さよならといいます。

  わたしを思って、心をいためないでください。

  わたしたちは、革命の道を進軍しなければなりません。


  いとしい人よ! 大通りで、さよならといいます。

  きっと、手紙をください。だが、喜びのしらせを。

  革命が勝利したというしらせを。

 

  いとしい人よ! 川のほとりで、さよならといいます。

  もしも敵にとらえられ、反動に屈服するようなら、

  二度と、正しい道を見出すことはできません。

 

  いとしい人よ! 早くゆきなさい、早く、紅軍へ。

  勝利をおさめてから、帰ってきてください。

  そして、もう一度、思いのたけをかたりあいましょう。

 

 インキのしみだらけの色あせた赤い布表紙の粗末なとじ方をした、この小さな歌の本を、やさしくなでまわしながら、朱将軍は、井岡山の荒々しい岩山や、青々とした緑の谷、竹の林や、もみの森、潅木といい香りがするさまざまな花、ほとんど一年中、山々をつつんでいる白い雲などを、じっと思いうかべていた。家々の屋根は木の皮でふかれ、その上には草がおい茂っていたので、上から見おろすと、まるで緑のフランネルのように見えたものであった。