Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

転換点になった大柏地の戦闘 『偉大なる道』第6巻⑥ー5

 いつものように、朱将軍は、戦闘の模様を非常に細かいところまで気をつかって、説明した。ものすごい激戦だったが、朱将軍の言葉でいえば、「実にきわめて単純」であった。その夜のうちに、林彪は、一個連隊をひきいて、10マイル(16キロ)を行軍し、戦闘がはじまった夜明け前には、敵の一個縦隊の真後ろにまわっていた。敵は、あらゆる武器弾薬をもっていたが、紅軍は、各自、20発くらいの弾薬しかもっていなかった。敵は、四方から、あらゆる武器をつかって攻撃してきたので、この弾薬は、すぐ使いつくしてしまった。紅軍の兵士は、銃をつかったり、折った木の枝を、棍棒がわりにつかったりしてたたかった。太陽が、頭の上にきたころには、紅軍は、敵の師団を完全にうちやぶっていた。

 

 捕虜は約1千人ぐらいしかいなかったが、その中から百人の貧農出身者を選びだした。朱将軍はこの百人に向かって、紅軍に加わり、紅軍と辛苦をともにし、紅軍がついに勝利をおさめる日まで闘いつづけてくれとうったえた。残りの捕虜は釈放された。理由は、「かれらが、むかしながらの傭兵で、アヘンの常飲者であり、そんな人間はわれわれには不要だった」からである。

 

 大柏地の戦闘は、土地革命において、また、敵の士気に与えた影響において、ひとつの転換点だった。それからあとは、敵軍が紅軍を追撃してくる場合は、遠くはなれて、近よらなかった。さらに福建の諸部隊は、こんなことは一切、自分たちの仕事ではないといって、福建省内へ引きあげてしまった。