Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

国民党軍の鬼畜化戦術と紅軍の情報網 『偉大なる道』第8巻③ー8

 「敵の第二次掃共戦で、われわれにわかったことは、国民党の指揮者らは、兵士がわが軍に投降することを恐れるようにするために、暴行、放火、掠奪、殺人を命じて、彼らが鬼畜化することを試み、部分的に成功していた、ということだった。この方法によって、兵士たちが、われわれの宣伝に動かされないようにして、捕えられることを恐れて死に物狂いで戦わそうとした」

 

 こうした鬼畜化戦術――それは、たまたま「日本の皇軍」も、第二次世界大戦中に、同じ理由で中国で実施したものだったが――それにもかかわらず、ほとんどいつでも、ほとんどすべての国民党軍の連隊や師団に、何者かがいて、あるいは農民を伝令として、あるいは書き付けを後に残すことによって、何とか紅軍に報告を寄せていた。誰かわからないものからの、こうした通信や報告は、朱将軍を深く感動させた。彼がいうには、ある報告は、文盲の人らしい筆蹟でたどたどしく、だがある報告は、明かに教育をうけたものの手になり、見事に書かれた文章も一貫していて、彼らが服務する白軍の、計画、位置、武器の数などを教えていた。

 

 「それを、わが軍の情報機関と比較してみると、正確であることがわかった」と朱将軍は断言した。「ある地点を占領してみると、たびたび、卓や扉にチョークか何かで書いて、敵軍の行先をわれわれに教えてくれていた」

 

 また朱将軍はいったが、紅軍の情報網も、すでに完備して、ソビエト地区を越えて、国民党支配下の地域にまでのびていった。軍には、特別の学校があり、情報工作者も訓練していたが、それらの多くは、女や子どもであり、そのほか行商人や旅回りの職人もいたが、そうした連中は、商売柄、国民党地域を遠く広く歩きまわって、金持ちの家にもまた貧しい家にも、それから敵の陣営の中にも入って、仕事をしたり物を売ったりした。

 

 情報機関の一局では、敵の暗号、書類、刊行物、それから捕虜の話を研究していた。新しく占領した地域の情報を集めている局もあった。さらに歴史的に――敵の各軍について、指揮者と兵士の研究、またその軍は何省から出ているか、その後どういう変化があったか、歴史と組織と戦闘能力などの研究をしていた。こういう研究のおかげで、「敵のそれぞれの軍と、どういう具合にあいさつをすればいいのかを、完全に決定することができた」と朱将軍は説明した。