Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

『偉大なる道』第8巻「紅色方陣」を読んで

この巻は1930年10月末ごろから開始された蒋介石による「紅匪」討伐作戦に対して、紅軍や共産党が甚大な犠牲者を出しながら、いかにして強力な武器を持つ国民党側に抵抗していったかが描かれている。
映像にすれば血なまぐさいシーンの連続になる。

 

蒋介石は、じわりじわりと侵略してくる日本軍と対峙するまえに、なにがなんでも「紅匪」をこの中国の領土から消し去りたいと考えていた。

このころの蒋介石の「日本軍は皮膚病、共産党は重い内蔵疾患」という文言はよく知られている。 


その作戦は数回にわたったが、すべて失敗している。

末端の兵士や将校の士気や動機付けの低さが原因に思われる。

蒋介石側の末端の兵士ひとりひとりの内面を見れば、あてがわれた武器で同族の相手を殺す個人的理由がほとんどない。

そこで将兵にとっては人為的に駆り立てられるものが必要。

相手が自分と同じ同胞、人間だと考えたら絶対できないので、残酷な心理的手法が使われた。


毛沢東朱徳たちと李立三との戦略の違いも個人的にはわかりやすかった。

気になるキーワード

撤退―紅軍は、敵の兵力が大きすぎて、味方の兵士の犠牲に耐えられないと判断したときは、撤退している。

 

紅軍内部の矛盾・衝突―

 

食糧不足―兵士は1日2食に耐え、自ら荒野を耕しはじめた。
     蒋介石側は餓死させようとしたのだから、自給自足をめざすのは当然。

 

報告書―現場から朱徳にもたらされた様々な報告書に感心。

    敵のなかの「味方」からのものもあった。

    彭徳懐による簡潔な文体は性格と教養がにじみ出ている。

 

武器―紅軍は軍閥蒋介石の軍(のちには日本軍)から奪い取った武器や軍事品で武装していくのだが、どこの国のメーカーのものか興味がある。

 

続いて第9巻は個人的に大好きな長征が描かれる。

結果的にみれば、日本軍の侵略行為の功罪が見てとれる。

功とは、共産党側の国民党側への統一戦線結成への呼びかけに成功していったこと。

一握りの特権層を別にして、農民から学生や知識人まで大勢が、抗日民族統一戦線を希求していくことになったから。