Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

ロロ族の酋長と同盟を結んだ劉伯承 『偉大なる道』第9巻②ー2

 まだ未開の生活をおくっているロロ族は、太平軍に挑戦した先祖をもつので、彼らとの友情をきずくためには、参謀長劉伯承は黒ロロ族の酋長と血をすすって兄弟の誓いをたてることを、こばむはずはなかった。それまでロロ族は紅軍を迎えると、「ウーユー……ウーユー……ウーユー」のようにひびく、長くひっぱる戦の叫びをあげ、それに応じて槍をもった腰まで裸のロロの戦士たちが、山のいたるところから、熊蜂の群れのように襲撃してきた。

 

 紅軍の中で、ロロ語のわかるものが出かけていって、黒ロロ族の酋長との会見をとりきめてきた。ハイ・ツェ・ビェンという池で酋長は劉伯承と会って話をした。酋長はその場で鶏を殺し、その血を二つの椀の水にたらしながらいった。

 

 「この月、この日、劉司令官とシャオ・ヤオ・ダは、ハイ・ツェ・ビェンの岸で、血の兄弟となる。いかなる場合にせよ、いずれかが互に裏切るならば、ともに、この鶏のごとく死ぬ!」

 

 劉司令官は、血の色に染まった水の入った椀をとり、ロロと紅軍の全会衆に伝わる大声で叫んだ――


 「われ、司令官劉伯承、とシャオ・ヤオ・ダは、今日ハイ・ツェ・ビェンにおいて、血の兄弟となる。もしわれこの誓を破れば、天、われを殺し、地、われを滅ぼせ!」

 

 劉が飲みおわると、酋長は自分の椀をさしあげて同じく大声で宣言した。

 

 「われ、シャオ・ヤオ・ダ、と劉司令官は、今日血の兄弟となる。われらは生死を共にする覚悟だ。もしわれこの誓を裏切るならば、この鶏のごとく死ぬ!」

 

 彼は椀を飲みほした。

 

 黒ロロの酋長は大勢の戦士をつれて、領地内を紅軍に付き添って行進した。領地の境まで来ると、酋長は20人の白ロロの奴隷をよんで、紅軍を北の方に道案内するよう、そして紅軍にとどまって戦闘法を学び、部族に帰って四川軍閥の劉文輝とどう戦えばいいか教えるようにという命令を与えた。紅軍はほんとうに白ロロを教育した。彼らはロロの地に帰る前に共産主義者になっていた。その後、彼らがどうなったか、朱将軍は知らなかった。