Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

ファン族部落を通過して第四方面軍部隊と合流 『偉大なる道』第9巻③ー5

 彭徳懐の先鋒隊に同行した政治工作員のひとりが、次のような話しをしてくれた。

 

 「われわれは、黒水付近で4日間ファン族と戦って、ウェイクというみすぼらしい小部落についた。住民は逃げていて、川の綱の吊り橋はこわされていた。彼らはウェイクのすぐ背後の高い切り立った崖の上に位置して、われわれに向かって丸い大石をころがし落とした。彭は彼らを追っぱらうため、部隊を派遣しなければならなかった。

 

 「崖や山のいたるところで、戦闘をよびかける部族民の角笛の音が『ウーン、ウーン、ウーーン』と気味悪く鳴りひびいた。

 

 「部隊は舟橋を作りはじめた。そのとき反対側の岸の山から武装兵の一隊が、わめきながらころがるように走って来るのが見えた。だが、激しい川の水音で何をいっているのか聞きとれなかった。一人が通信文に石をくるんで、投げてよこした。それには『われわれは第四方面軍部隊だ。40里(157キロ)上流のイニョンには綱の吊り橋があって、渡河できる』とあった。

 

 「イニョンにゆく途中でも、人の逃げたファン族部落を通ったが、ここでもつき出した崖の上から石を投げ落としてきた。イニョンでは川幅がウェイクよりも広くなっていて、吊り橋はこわれていた。ふたたび対岸に武装兵があらわれ、その中のファン族の案内者が、川越しに通信文を投げてきた。それは徐向前からのものだった。「われわれはウェイクに引き返し、舟橋を作って川をわたり、同志たちと合流した。われわれはおたがいに抱き合い、歌い、感激に泣いた」