Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

降伏しない日本兵 『偉大なる道』第10巻②ー6

 朱と彭は、林彪の師団が平荊関で日本の一個旅団を全滅させた話をしてくれた。そしてその他の戦闘でも、日本人は負傷した場合でなければ、ぜったい降伏しないという話もした。負傷者さえ、死んだふりをしているということだった。八路軍の担架兵が、彼らの上にかがむと、飛び起きて、立ちどころにこちらを殺した。賀竜の部隊が敵の輸送隊を潰滅させたときなど、日本兵がトラックにしがみついて、斬りおとすまで離れなかった。賀竜の部隊は、日本兵の死体のポケットから、日本共産党や日本反ファシスト連盟の署名のある反戦ビラ多数を見つけた。朱将軍はこのビラのことを話しだすと昂奮してきた。

 

「おそらくわれわれは、われわれの同志たちを殺しているんだろう!」と彼はさけんだ。「だが、仕方がない。これからは、わが軍の兵隊も、日本兵にむかってわれわれは捕虜を殺さない、とさけぶだけの日本語をおぼえないとだめだ。敵の兵隊は将校から、紅軍は捕虜をすべてなぶり殺しにするとおしえられているからだ」

 

 朱将軍は中国語に訳されたビラの1枚をわれわれの前においた。その一部分をあげると――

 

満州事変前後を通じて死んだ、あわれな20万の兄弟たち! いったい誰のため、何のために死んだのか? 軍国主義者たちのためだ――われら自身の国の軍国主義者たちの野心と貪欲のためなのだ! ふたたび奴らの手におどらされていいのか? 親愛なる陣中の同志諸君! 軍国主義者どもに、われわれの兄弟の生命をかえせと要求しよう。われわれはたちあがって、われわれの真の敵――軍閥と財閥に銃をむけなければならない。彼らを打倒してはじめて、われわれは、極東永遠の真の平和を成就することができる」