Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

東方民族会議での演説で朱徳が分析した国際情勢 『偉大なる道』第11巻①ー8

 国際問題にたいする朱将軍の態度は、真珠湾攻撃の2週間前に延安でおこなわれた東方民族会議の席上で、彼が読んだ長文の演説原稿に、はっきりといいあらわされている。この会議は中国、日本、朝鮮、インド、および蒙古の数百人の代表が出席した、小さくて目立たない会議ではあったが、歴史の流れに影響を十分あたえるものだった。朱将軍は、演説の最初に、世界人口の半分を占める十億の東方民族は、百年以上にわたって帝国主義的征服者にたいする革命的闘争をおこなってきた、とのべた。それから太平天国の乱以後の中国の革命闘争を分析し、ついでインド、ビルマ、オランダ領東インドインドシナ、フィリピン、朝鮮の独立運動について簡潔な歴史的説明をおこなった。日本にもふれて、明治維新以後の民主主義のための闘争で、数千人の日本人が生命を犠牲にしていることを指摘した。


 それから、第二次世界大戦をもたらした情勢について次のように要約した。

 

 「中国を征服できないため、日本帝国主義は、こんどは南方の他のアジア諸国にむかうにちがいない」

 

 その攻撃がいつおこってもおかしくない証拠として、戦場で奪った日本軍の文書を引用した上、さらにつけ加えた。

 

 「日本は国防を再編成し、緊急戦時法規を定め、優秀な空軍力をつくり、国内の統制を強化し、経済全体を戦争体制に切りかえた。最近日本では、しきりに大規模な防空演習をおこなっている。最近東条将軍が政権をついだのは、日本の全面的な軍事化のあらわれだ。以上のような措置は、中国との戦争には必要ないものだが、英米およびソビエト同盟との戦争には不可欠のものだ」

 

 彼はまた在外日本人の引き揚げ――オランダ領東インドからの2,700名、米国からの引揚船3隻、その他香港などから――もあげた。

 

 そうした、彼の集めた情報から判断すると、日本の戦略ではアジアを4つの地域に分けている、と彼はかたった。第一は、日本、朝鮮、台湾を含む地域、第二は、中国の占領地域とインドシナ。フィリピン、タイ、ボルネオ、マレー、ビルマ、オランダ領東インド――石油、ゴム、錫、鉄、米、キニーネ、その他日本の戦争産業にとって不可欠な原料を豊富に持つ地域――が第三だ。そして綿花、羊毛、鉄その他の資源をもつインドとオーストラリアが第四の地域だが、これには中央アジアチベット、青海、新疆などもふくまれる。