Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

枢軸側に利用される「共産主義の脅威」 『偉大なる道』第11巻②ー4

 1943年2月初旬のスターリングラード戦までは、国民党内の有力分子は、枢軸側の勝利を確信して、つまらん方の味方についたものだと考えていたようである。ところが、朱徳その他延安の指導者たちの講演の論文のどれ一つをとってみても、中国共産主義者は連合国側の最後の勝利をいささかも疑わなかったことがわかる。それだけでなく、1943年2月23日のロシア赤軍創立26周年記念日に発表した論文で、朱徳将軍は、連合国側の勝利の上に中国軍が重要な役割をになうという信念を表明した。

 

 「中国は、ナチスソビエト同盟に侵入する4年も前から、日本と戦ってきた。中国はソビエト同盟の2倍の人口をもっている。……だが、われわれはまだ勝つことができない。これはなぜだろうか? 主な理由は、政府が、国民を政治的に、経済的に、軍事的に動員しようとしないからだ……

 

 「ナチス・ドイツは、人民の力の最高度の動員と発展をもたらす革命戦争の特殊な性質を理解していなかった。ロシア赤軍が、ナチス・ドイツ軍の優秀な装備を圧倒することができたのは、このためである。スターリングラードの勝利――枢軸軍33万を包囲して9万1千を捕虜にし残りは戦闘でせん滅した――も、これによって説明できるのである。中国はロシア赤軍に十分学ばなければならない……

 

 「われわれはまた、ロシア赤軍は、それをささえる強大な生産力を背後にもっていることを忘れてはならない。赤軍の勝利のいま一つ重要な点は、連合国のあいだの結束であり、ソビエト同盟に対する米英の物資的援助である。スターリングラード以後は、枢軸側の最後の望みは、共産主義の脅威をさけんで、連合国側の仲をひきさくことである。日本は戦争開始以来このプロパガンダを利用しており、国民党の役人や軍人の多くが、それにひきつけられていた」