Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

毛沢東、連合政権樹立を提案 『偉大なる道』第12巻①ー4

 共産党第7回全国代表者大会は、目まぐるしい国際情勢の変動を背景におこなわれた。会議は世界的な重大ニュースのためたびたび中断されたが、それは、ムッソリーニと愛人が17人のファシストとともに、パルチザンに殺されたこと、ヒトラーが彼の側近とともに残忍な生涯をベルリンの火焔の中に終えたこと、デーニッツ提督がロシア赤軍とは戦闘をつづけ西欧側には降伏するという申し入れをし、連合国間分裂のための最後の無駄な努力をこころみたこと、などだった。

 

 大会が終わった5月1日には、ロシア軍はベルリンの真ん中で戦っていたし、イタリアのドイツ軍はぞくぞく降伏していた。1週間後にはフランスのドイツ軍が降伏し、ナチス陸海空軍の代表がベルリンで無条件降伏文書に調印した。

 

 毛沢東が連合政権の樹立を提案したのは、こういう複雑な国際情勢を背景にしていたからであった。『連合政府について』という表題のこの報告書では、まず日本帝国主義の徹底的な撃滅、中国封建主義の破壊、そして国民党独裁の廃止を要求し、どれひとつも妥協はありえない、と毛はのべている。

 

 つぎに彼は、国民党独裁にかわるものとして、あらゆる党派、組織およびグループを代表する連合民主政府の樹立を提案した。さらに普通選挙、人民の自由権、土地改革、工業の発展、大衆教育と大衆文化、そして人民軍の保護、発展、教育を要求した。

 

 毛はとくに共産党員に直接よびかけて、独善主義、分派主義、経験主義、「追随主義」、官僚主義軍閥主義、傲慢などの危険についていましめ、すべて彼らを人民から遠ざけることになると告げた。また、人民のいうことをよく聞き、人民とともに進むように、そして彼らの理解の程度を考えつつ人民の意識を高めていくように、と説いた。また人民に「自発的に組織する」ことを教え、情況のゆるすかぎりあらゆる必要な闘争を展開する必要があるとのべた。そして沈滞を避けるために真剣な自己批判を要求したが、「流れる水は腐らず」、「扉の回転軸は虫食いにならない」からだ。

 

 毛沢東はまた、遊撃戦の時期には効果のあった戦術や政策も、対日戦が終わって大きな都会が解放された時期には、不適当な場合があることも注意した。


 日本共産党代表の岡野進(野坂鉄)もこの大会で演説したが、彼は日本軍国主義に対する日本共産党の14年の闘争についてかたった。大きな犠牲もかえりみず「われわれは日本国民の利益と福祉のために戦った」といった。岡野は最後に「連合国が援助を約束し、またそのために戦っている」新たな民主的な日本政府が樹立されることを希望するとのべ、それは「おそらく共和国の性質をもつものでなければならない」といった。