Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

蒋介石、共産軍への攻撃やめず 『偉大なる道』第12巻②ー4

 朱徳将軍のデスクに緊急暗号電報の警報がとどいた――重慶の国民党高官が、日本軍は好都合な時期に降伏してくれた、と言明したというのである。

 

 その高官がいうには、「降伏が2ヵ月おそかったならば、われわれは日本軍に対する反撃を開始し、レンド・リース物資を使わないといけなかった。だがおかげでそいつを共匪にむかって使用できるわけだ」

 

 別の警報では、蒋介石が1931年満州から逃げた3人の老将軍をよんで秘密に会合したこと、彼らが国民党将校を同行して満州の接収に派遣されるだろうということをつたえてきた。

 

 この運命の日、8月10日には、朱将軍はもっと重大な報告を受けとった。それは蒋介石華北、華東、華中の日本軍と傀儡軍に命令して、彼自身の「特定の命令がないかぎり」武装解除、再編成、または他軍への合併などを受けてはならない、と命じたことであった。さらにこれらの部隊は、「現在の体制を保持し、平和と秩序の維持にあたる」ことを命令された。

 

 華北には、国民党軍はまったくいなかった。いるのは日本軍と傀儡軍だけで、傀儡軍の多くはもと国民党部隊だった。4年にわたってつづけられた売国的陰謀の数々が、いまついに焦点に達したのである。国民党最高司令部は、解放区を血の海にした日本軍と傀儡軍にむかって、共産軍に攻撃されたならば、戦えと命令しているのである。

 

 朱将軍は、各解放区からの報告によって、この将棋ゲームに似合っている、もうひとつの動きがあることを知った。傀儡軍は部隊名や記章を国民党のものに変え、日本の旗をおろして国民党の旗をあげだした。