Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

トルーマン大統領の声明がもたらした影響 『偉大なる道』第12巻④ー5

 朱将軍がこうした考え方をしていた当時、中国の情勢がまた急に変わった。1945年12月15日にトルーマン大統領は声明を発表して、アメリカ政府は、「中国の国民政府が一党専制の政府」だということを認めること、そして政治的統一は中国人自身によってのみつくり出されるということを明らかにした。大統領は、内戦の停止命令を擁護して、平和と統一と民主的改革は、中国政府の基盤をひろげて他の党派をふくめることによって、促進されるだろう、といった。アメリカ政府は、そうした基盤の拡大された政府に融資するだろう。

 

 この声明と、それを具体化するためのジョージ・マーシャル将軍の派遣を、中国人民は大いに歓迎した。

 

 重慶の『新華日報』は「いざ立て! 人民大衆よ」とさけんだし、上海の新聞も一斉に歓呼し、そして『大公報』は上海の学生たちからマーシャル将軍への訴えをかかげた。

 

 「(1)民主的中国政府の樹立を援助していただきたい。

(2)中国における工業、農業、商業、医療、および文化事業の発展を援助していただきたい。

(3)中国国民の利益を尊重し、故ルーズベルト大統領の政策を実行してほしい。

(4)中米友好が強化されるように中国人民の真の感情をよく理解してほしい。

(5)内戦を公正に仲裁していただきたい。

(6)アメリカ軍隊をできるだけ早く中国から撤退し、またレンド・リース協定の兵器による中国部隊の援助を停止してほしい」

 

 毛沢東朱徳トルーマン声明を歓迎することを発表し、ジョージ・マーシャルが「パトリック・ハーレイ将軍とアルバート・ウェデマイヤー将軍がもたらした損害をつぐなってくれる」ように希望した。

 

 しかし、中国のアメリカ部隊は相変わらず国民党軍を保護していたし、アメリカのレンド・リース物資はぞくぞくと流れこんでいた。したがって、ウェデマイヤー将軍は、新聞記者に、中国の傀儡軍は「うまく蒋介石軍に吸収されている」と平然とうそぶいていた。

 

 そうした警戒すべき兆候があるうえに、さらに毛沢東朱徳は『国家再建計画』という国民党の新しい秘密文書を手に入れたが、――それは彼らの軍隊を掃討するための設計図であった。アメリカの行動とこの新しい計画が符号する事実は、トルーマン声明とマーシャル将軍派遣の目的について、彼らに深刻な危惧の念をいだかせたにちがいない。それは彼らを解体し弱めるために、時をかせぐ行動ではないだろか?

 

 このような危惧はあったが、それを口に出したのは数ヵ月後のことであって、共産主義者たちは、蒋介石がマーシャル将軍の助言でついに召集した政治協商会議に、ただちに代表団を派遣した。