Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

軍備を縮小し産業を発展させる近代国家を希求 『偉大なる道』第12巻⑤ー2

 朱将軍はとても熱心に重慶会談のことを話した。「日本がやぶれ、ロシアは問題ではなく、内戦の危機も明白に去った」とすれば、次に必要なことは軍隊を国でまかなえる程度まで縮小し再編成することだ、と彼は考えた。国民党軍90師団、共産軍20師団という協定は、もっと縮小するべきだと考えた。中国はできるかぎり自分の足で立つべきであり、蒋介石が頼んできてもらい、ウェデマイヤー将軍がいまそこで働いている、アメリカ軍事顧問団のようなものは、不必要だと見た。

 

 なおまた、軍事目的の外国借款は返すことがむずかしいが、産業建設につかう借款は、新しい工場の生産から支払うことができ、同時に生活水準を引き上げることができる。

 

 極東の平和を維持するには、十分訓練された大きな軍隊が必要ではないか、という質問がでたとき、朱将軍は、新しい中国の民主政府の存在こそ国内平和の最大の保証だと思う、と答えた。

 

 「われわれが軍隊を国軍に統一することを主張しているのはそのためだ。中国では、大きな軍隊を維持する誘引になる権力や利潤を取りのぞくことが、先決問題だ」熱心に語りながら、これはこう結論した。


 「私はこの華北で、人間が逮捕やテロにおびやかされずに生活でき、自由に民主的な自治を行なうことのできる地域をつくりだす仕事を、手伝ってきた。私は幸いに生きのこって、現にわれわれの打ちたてた民主主義が、現在混乱と圧迫の中に住む地域の中国人から要求されているのを、自分の目で見ることができた。有りがたいことだと私は思っている。私の生涯は、無駄ではなかった」

 

 重慶の統一会議の妥結を祝う2月4日の延安の民衆大会で、朱将軍は、もし中国が30年の平和を手に入れることができるならば、世界のどこにも負けない近代的国家になるだろうという確信をのべた。総統が民主政府に同意したことに敬意を表す、といった上で、しかし蒋介石に、延安辺区の軍事封鎖をやめて、その誠意を示してほしいとよびかけた――しかし蒋はこのよびかけを無視した。