Out of Far East

東アジアの文化歴史の個人的覚書

朱徳の半生記『偉大なる道』を読んで

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こんなに本の中の登場人物に愛着をもって読みすすめたことも珍しい。
勢いで読んだ1回目、少し余裕をもって読んだ2回目よりもはるかに多くの知識、発見、再認識をえたし、現代の国内情勢を考える目も少しやしなわれた感じがする。
とくにアメリカの対アジア政策のことは考えさせられた。

 

最近、新型コロナの発生場所として武漢という都市名をよくネットで見かけるようになったとき、この本を読んでいたので「あの武漢だわ」と思ったものだった。

太平天国の乱、辛亥革命、大革命と中国での歴史的転換期の要所のひとつであった。

 

それと新型コロナの発生に関して、背景にアメリカやフランスという国名が出てきて、袁世凱の時代の軍閥闘争を思い出し、未だに変わらないのかとも思った。

 

ブログに載せていくために中国独特の漢字を調べることがしょっちゅうあって、漢和辞典はよくお世話になった。

Wikipediaは中身は問題があると思っているが、歴史上の人物の名前、生年没年や土地名を調べたりするにはとても便利だった。

 

印象に残っているシーンは、延安ではじめてスメドレーが伝説の人物朱徳と会ったときに始まってたくさんあり、その都度の感動の余韻がこんな作業を続けさせたのだと思っている。

 

貧農の三男だった朱徳が、一族の期待を背負って弁髪姿で家塾に通いはじめたところ。

 

青年に達して、祖国を救うために軍人を目指した朱徳が、四川省を脱出して危険な河をくだり雲南省へ入ったところ。

 

蔡鍔(さいがく)将軍との出会いと別れ、そして、まるで忠臣蔵を思わせるような辛亥革命でのクライマックスシーン。

 

愛する人たちの死や挫折などによってアヘンを吸い始め、気が向けば女をそばにおくという生活から決意して、フランス留学を実現させていくところ。

 

上海での孫逸仙との会談。

 

ベルリンで周恩来と出会い、共産党入党を果たしたところ。

 

南昌蜂起の準備のための秘密会議に参加。

それまで名前と顔が一致していなかった毛沢東を薄暗い部屋で眺めたこと。

 

南昌蜂起の後、敗北主義をのりこえて毛沢東の軍隊と合流し紅軍を結成したこと。

 

長征中、少数民族との同盟を結んだり、太平天国の乱の兵士が全滅した揚子江の同じ場所で渡ることに成功したところ。

 

紅軍を結成したのちは、司令官として扇の要となって指導力を発揮していったところ。


気は優しくて力持ちで、場合に応じて喧嘩もする。
楽天家で勉強家、読書家。
真面目にコツコツ物事を進めていくタイプ。
何より行動の人。
農民出身なので、農民の中に自然に溶け込んでいき農民の言葉を話せて、農民からの絶対的な信頼を得ていた。

スメドレーは何度も、足のつま先から頭のてっぺんまで男性的だったと表現していた。

 

西洋のアレキサンダー大王やカエサルやシーザーとかもっと現代に近いナポレオンなど英雄伝説は多いが、彼らの半生と同様にこの日本で知る価値のあるアジア圏の人物だと思う。

 

中国人で、共産主義者で、抗日戦争の司令官だったという三重の障壁で、もったいないほど親しむ機会を失ってきている感じがする。
朱徳は封建主義や帝国主義を否定し戦ってきたのであって、その国の人民とではない。

 

好き嫌いは別にして、戦前の日本もかなり絡んでいる隣国の建国苦労話で、アメリカがどうしても出版させたくなかったこの本は貴重な本だと思っている。

かつてアジア図書館設立運動に関わったものとして、一般市民が東アジアの近代現代の歴史、政治的構造を知る1冊としてこの本を強く勧める。

 

ブログの文章はあくまでもラフスケッチのつもりで、そこからさらに見識を深めて理解していきたい。